オレンジのR+ //
2008.03.12 [Wed] + Parenting/Education +
あしに残る父親の温もりの記憶

ある友人の話。

彼の父親は根っからの職人である。
朝早く現場に出かけて行き、夜も遅くなってから帰宅する毎日。
当然幼い頃の彼と生活のリズムが合うはずもなく、
父親が会えるのはたいていまだ目を覚ます前かもう寝てしまった後だった。

それでも彼の父親は家に帰ると真っ先に可愛い寝顔を眺めに行き
起こさないようにと手ではなく、そっと幼子のちいさなあしを握りしめた。

彼の父親にとって息子の成長を知る術は
抱き上げたからだの重さや大きさではなく、
たどたどしく発せられることばの数でもなく、
日々豊かになってゆく感情表現や自我の芽生えでもなく、
少しずつ変化してゆく足の大きさや肌の感触や土踏まずのかすかなくぼみだったのかもしれない。

幼い彼の記憶には一緒に遊ぶ父親の姿が少ないという。
それは仕事が忙しかったからだと理解していた彼が母親からその話を聞いたとき
ミルクの香りと柔らかなタオルケットに包まれてまどろむ中、
かすかにあしに触れたゴツゴツした手と、その不器用な温もりと、伝わってきた愛情を、
ハッキリと思い出したという。

彼は覚えていた。
そして知っていた。
かけがえのない、父の愛情。


ねえ、愛情は必ず相手に伝わるって信じていいよ。
届いているよ。

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