オレンジのR+ //
2007.11.25 [Sun] + Art/Design +
シェークスピアの『ハムレット』×ミレイの『オフィーリア』×ドラロージュの『若き殉教者の娘』

前回のエントリ『モノクロ写真にカラーをつけよう!』であわせて紹介したものの中に、さりげなくあたしの大好きな絵画作品があります。
実は『アートに潜む美女たちの競演』の中でもこの作品についてツブヤキ程度に少し触れていたりする。


あの場所で一番印象深く残っていた絵も、やっぱり女の人がいたね。
また逢いたいなぁ。。

深い森の中で
光と、穏やかさと、死の誘惑と、美しい女を水に浮かべていたの。


あれってどの作品のこと?と聞かれたりもしたけれど
初めてルーヴル美術館に訪れたとき思わず足を止めて見入ってしまったもの、
モナリザよりなにより最もその場から離れることができなかったのは―――
この作品です。


ポール・ドラロージュ、
『若き殉教者の娘』1855年。
[ルーヴル美術館、パリ]




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この作品を見たとき、脊髄反射的に『オフィーリアだ!』と。

オフィーリアとは、かの巨匠シェークスピアによる四大悲劇のひとつ「ハムレット」の登場人物で、デンマーク王国の王子ハムレットの恋人。
父親の復讐に燃えるハムレットに冷たくあしらわれ、その恋人によって父親が殺され、ついにおかしくなってしまったオフィーリアはある日誤って川に落ちてしまい帰らぬ人となった。

「若き殉教者の娘」にも「オフィーリア」にも、美しく優雅な気品をたたえる女性が水面に漂っているのだけれど、そこには死の恐怖や絶望・悲壮感というよりむしろ穏やかな静寂と安らぎさえ。


Millais_-_Ophelia.jpg
ジョン・エヴァレット・ミレイ
『オフィーリア』1852年。
[テートギャラリー、ロンドン]


実際この二作品は無関係ではなく、ミレイの『オフィーリア』に感銘を受けたドラロージュが、得られたインスピレーションを基に描き上げたのが『若き殉教者の娘』なのだそうです。

あたしの中の『若き殉教者の娘』もいつのまにやら『オフィーリア』をわずかに重ねていたらしく、“深い森の中で・・・”というフレーズは、あきらかに『オフィーリア』の影響を受けてますね。改めて作品とじっくり向き合うことができて、はじめて気がついた!
二つを比べてもあたしは『若き殉教者の娘』の方が好きです。ルーヴル美術館に行かれる方は、ぜひ堪能してみてくださいね。

ところで、シェークスピアが描き出したオフィーリアは多くのアーティストの感性を刺激し、彼女をモチーフにたくさんの作品が生み出されました。いくつかランダムに気になった作品を取り上げてみます。




        *     *     *     *     *


恋人ハムレットに父親を殺され、気がふれたオフィーリアは、花環を枝にかけようとして、花環もろとも川に落ちてしまう。


351px-Ophelia_1894.jpg


兄のレアーティーズが気の狂った妹の姿をみてこう言いました。
「ああ、5月のバラ!愛しい乙女、優しい妹、麗しいオフィーリア!」


ophelia4.jpg
Dominico Tojetti (1817-92).
Ophelia, 1880.

ophelia29.jpg
Joseph Severn.
Ophelia, c. 1831.


オフィーリアのセリフ:
「陽気で美しくさえずるコマドリは、私の喜びのすべて」


Arthur_Hughes_-_Ophelia_(First_Version).jpg
ophelia22.jpg
Henry Nelson O'Neil.
Ophelia, 1874.


オフィーリアのセリフ:
「私が見たものを見た私、私が見るものを見る私、ああ私って何て悲しいの!」


ophelia17.jpg
Richard Redgrave.
Ophelia Weaving Her Garlands, 1842.

Stone.Ophelia.jpg
Marcus Stone.
Ophelia, 1888.


小川のほとりに柳の木が斜めに立ち、白い葉裏を流れに映しているところに、オフィーリアが来ました。キンポウゲ、イラクサ、ヒナギク、そしてはしたない羊飼いどもが、下卑た名前で呼びますが、清い乙女は「死人の指」と呼んでいる紫蘭の花などから作った花環を手に持っていました。


Arthur_Hughes_-_Ophelia_(Second_Version).jpg
Ophelia1980.jpg
Artist: Annie Ovenden.
Ophelia, 1980

dicksee_t.jpg
Thomas Francis Dicksee.
Ophelia, 1861


あの子がしだれ柳の枝にその花冠をかけようと、よじ登ったとたんに、つれない枝は、一瞬にして折れ、あの子は花を抱いたまま、泣きさざめく流れにまっさかさま。


ophelia19.jpg
Robert Westall.
Ophelia.

Simmonds.Ophelia.jpg
W. G. Simmonds.
The Drowning of Ophelia.

ophelia14.jpg
EugクJ餓e Delacroix.
The Death of Ophelia, 1853.

ophelia3.jpg


王妃にむかって狂気のオフィーリアはこういった。
「でも、あなたには忠実なすみれをあげたかった。それなのに、こんなにしおれてしまって」


355px-Opehlia.jpg


身につけた服は、水をふくんで重くなり、あわれにもその美しい歌声をもぎとって、川底の泥のなかへ引きずりこんでいきました。


ophelia10.jpg
Paul Albert Steck
Ophelia, 1895

levy.jpg
Lucien Levy-Dhurmer.
Ophelia (portrait of Suzanne Reichenberg), 1900


オフィーリアの埋葬に当たって兄、レイティアーズはこういう。
「その穢れない身体から、すみれの花を咲かせてくれ」
忠実の花、すみれはオフィーリアそのものだったのだ。


Alexandre_Cabanel,_Ophelia.jpg
ophelia6.jpg
Jean Baptiste Bertrand.
Ophelia.

JWW_Ophelia_1889.jpg


ハムレットを観劇したーい。
と言えば、もう観たい・観せたい舞台もいっぱいあるんだけどどうする?って笑われちゃうんだけど。

昔から言われ続けていることだけど、シェークスピアの英語は詩的で非常に美しい。
だいぶ英語を使えるようになってきた今なら、それがわかる。
英国では必ず皆シェークスピアを学ぶけれど、表現力をマネる意図も当然あるんだろうな。
原文を読みたいけれど、ちゃんと読み切れるかなぁ・・・。


オススメリンク:
[ドラローシュ 若き殉教者と倫敦塔 - カイエ]
[オフィーリア - Life Style Concierge]

『オフィーリア』作品 参考リンク:
References to Ophelia [Wikipedia]
[Ophelia - Shakespeare_Illustrated list]
[オフィリア - アートatドリアン]



| 21:56 | trackback 1* | comment 2* |


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>lapisさん

こちらこそ、コメントしていただきありがとうございます!
とってもすてきなブログで、ファンになりました。
センスもよく、知識も豊富でうらやましい限りです。
またいろいろ参考にさせていただくこともあると思いますがよろしくお願いします。

2007/12/02 21:40 | kotomo [ 編集 ]


はじめまして
TBありがとうございました。
ルーヴルで、はじめて『若き殉教者の娘』を見たとき、僕も同じように足を止めて見入ってしまいました。本当に美しい絵だと思います。
オフィーリアを題材にした作品は、魅力的なものが多いですね。
ミレイの『オフィーリア』は、別格だと思いますが、Jules Joseph Lefebvreの作品も大好きです。
こちらからもTBさせていただこうとしたのですが、上手くいきませんでした。

2007/12/02 21:07 | lapis [ 編集 ]


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