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2013.02.02 [Sat] + Days +
内田百閒『ノラや』雑感メモ

内田百閒『ノラや』読了。

ふとした縁で家で育てながら、ある日庭の繁みから消えてきまった野良猫の子のノラ。突然いなくなった愛猫のため、近所の警察署へ捜索願を出すのみならず、新聞広告を出したり近所に張り紙をしたりビラをまいたり。果ては英文広告まで作成してノラを探す日々。

そうして過ごすうちに、家に迷いこみ居つくようになったノラそっくりのクルツ。やがて病にかかり家人の腕に抱かれながら永い眠りにつく。再び深い哀しみに沈む人々ーーー。


本文中、何度も何度も出てくる「ノラや」「クルや」という呼び掛け。
そのたった三文字にあらゆる愛情が、哀しみが、慈しみがこめられていて、何度も胸をしめつけられる。

いちばんの愛言葉はその人の名を呼ぶことではないか。ラブレターの本文とはその宛名ではないか。名前を呼ぶとはつまりその人の瞳の中に心の内にその存在があることの何よりの証拠ではないか。

だからこそ不在の名を呼びつづけるその姿に切なくならずにはいられないのだ。

ノラや、お前は三月二十七日の昼間、木賊(とくさ)の繁みを抜けてどこへ行つてしまつたのだ。それから後は風の音がしても雨垂れが落ちてもお前が帰つたかと思ひ、今日は帰るか、今帰るかと待つたが、ノラやノラや、お前はもう帰つて来ないのか。


たとえ目の前から去ったとしても、その存在の確かさに偽りはなく。

庭の隅の地の底で、姿はもうなくなつてゐるに違ひないが、一たび生を享(う)けたものに、その跡が遺らぬ筈はない。玄関前の、屏際の支那鉢のあたりで、猫の小鈴の音がするのは、クルや、お前か。お前の鈴の音だらう。



猫は我我の身近にゐる小さな運命の塊まりの様なものである。




聖なる夜にちいさな息を引きとったちびのことを思い出した。そのしなやかな身体、なめらかな毛並み、愛嬌のある仕草と表情。

叶うならもう一度あいたい。

何度でもその名を呼んで。

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