オレンジのR+ //
2012.08.06 [Mon] + kotomoの中の人 +
日本の花火 花火の種類 〜お手軽打ち上げ花火鑑賞マニュアル

さてさて。江戸の花火が天才花火師たちの登場によりいかに華やぎ人々を魅了したものであったとしても、それは単に一色の花火にすぎなかった。現在のような色鮮やかな花火がつくられる様になるのは、明治時代にはいり、欧米の薬剤が輸入され、使われるようになってからである。花火の世界では、江戸時代の花火を「和火」、明治期以降の花火を「洋火」と読んで明確に区別しているほど。


hanabi_kindsof17.jpg
雌雄芯引先変化光露 By ELCAN KE-7A


前回話したように、江戸の花火(和火)では主に黒色火薬がつかわれていたが、これだと燃焼温度が約1700度ととても低く、酸化金属の燃焼までにはいたらなかった。ところが1786年により強い酸化剤である塩素酸カリウムが発明され、燃焼温度も約2200度までの上昇が可能になると、「洋火」と呼ばれる華やかで色とりどりの火の花がつぎつぎと開発されていったのである。



■ 炎色反応と洋火


リアカー無きK村、動力借りようとするも、くれない。馬力にしよう。
 Li:赤 Na:黄 K:紫 Cu:緑(青緑) Ca:橙 Sr:紅 Ba:緑(黄緑)


おなじみ、炎色反応のゴロ合わせでございます。なつかしいなあ。


「化学とは花火を造る術ならん」。かの夏目漱石はこう詠んだ。
花火のあの数々のすばらしい色彩は炎色反応を利用したものである。通になると、花火のデザインや花ひらくタイミングはもちろん、花火の色をみてその煙火業者を見分けることができるというからすごい!薬剤の微妙な配合による独自の色は職人たちの腕のみせどころだそうで、基本的にその交配レシピは門外不出であり、一子相伝で受け継がれていくのだ。

ところでいま目にする花火の色彩バリエーションはそれはそれは豊富であり、いったいどれほどの種類の金属がつかわれているんだ・・・と思いきや、実はそんなにたくさんは必要ないのである。――なぜか?

そう、光の三原色を思い出してほしい。基本的に三色あれば(理論上は)すべての色が表現できるのだ。
「煙火の花道 - どうやって花火の色をだすの?」では実際に使っている主な元素として『赤色:ストロンチウム、青色:銅、黄色:ナトリウム、緑色:バリウム』の四種をあげている。その上さらに「水色・ピンク・レモン色・オレンジ」を作るためにはどの元素を組み合わせればよいか?」というクイズ付き。ぜひ考えて挑戦してみてほしい!(マウスのカーソルをあてると答えが現れます)おもしろいー



■ 青木多門氏の功績


ところで、酸化剤として塩素酸カリウムを用いていた当初は花火の発火爆発事故が絶えなかったという。そこで一肌ぬいだのが青木煙火店の二代目、青木多門氏である。


塩素酸カリウムは、もとはマッチの原料として明治のはじめに日本に入ってきた薬品で、のちに花火の原料として盛んに使われるようになるのだが、少しの摩擦や衝撃で発火してしまう欠点をもっていた。

二代目多門氏は、安全な花火のための調合の改良に取り組む。そして「塩素酸カリウム」の代わりに「過塩素酸カリウム」への使用へと到達した。それによって花火は、明るく美しい色彩を出すとともに、より安定した品質のもとへと進化することができたのである。

多門氏の偉大さは、そのあとにある。自ら開発した安全な火薬の配合を公開したのだ。技術の秘蔵が常識だった職人の世界にあって、これは異例なことだ。1975年には、自らが常任理事を務める日本煙火協会の「塩素酸カリウム追放キャンペーン」のために全国をまわり、調合の仕方を講習し、花火師たちを直接指導したという。[…]

『日本の花火はなぜ世界一なのか?』 泉谷玄作


なんかね、日本の花火をしらべていけばいくほど、偉人たちの努力や逸話がごまんと出てくるから困る。それら職人たちの地道な努力と花火の発展を知るにつけ、さらに知りたくなってしまうのだからたまらない。いいぞもっとやりたまへ。(命令形)


■ 花火の種類


花火の種類について調べると、かならず『割物・半割物・ポカ物・型物・仕掛け』等の言葉と出くわす。うーんなんだかややこしそう。。

で、わたしも実際に長岡花火を見にいく前に簡単な知識を頭につめこんでいったんだけど、感想としては「たしかに花火の大まかな分類を知っておくとおもしろい。なぜならプログラムに載っている花火の名前をみるだけでなんとなく打ち上がりが想像できて、それが実際に当たってても外れてても(=多くは想像以上のすばらしいものだった、という素敵なオチ)、何も知らないで観ているよりはるかにおもしろくて興奮できるから。けど別に花火の専門家でもなければ研究者でもないし、細かい分類や区別を知っておく必要はないなあ。あくまで“より打ち上げ花火を楽しめる”レベルで十分」かな。

そう、伝統的な割物花火の場合、その玉名(花火の名前)でなんとなくどんな華が咲くのか検討をつけることができるのだ!以下に代表的なものを紹介。


菊と牡丹

日本の花火といえばなんといっても割物花火、どーんと打ち上がって、空高くパアッとまんまるな球形の華を咲かせるもの。割物花火には菊と牡丹、このふたつだけ。

菊と牡丹の最大の違いは、上空で花火が開いたときに星(光や色彩、煙を出す球形の火薬、いわゆる花火の花びらの素ね)が尾を引くかいなか。菊は花弁(星)が尾を引くもの。まるで放射線状に光の線が出ているように見える。牡丹の場合、尾はひかず、いきなりぱっと色づいた光が見える。

論より証拠、実物をみれば菊と牡丹のちがいは一目瞭然。↓

【菊】


【牡丹】

(ピーピー鳴っているのは、後述の「昇り曲導付」だから)

ね、全然ちがうでしょ?どちらもお馴染みの花火のはず。「菊」「牡丹」、まずはこの基本の2つをおぼえてね。


 詳しいせつめいはこちら >> 日本の花火:菊と牡丹


千輪(せんりん)
俗にいう、半割物です(覚えなくていいと思う)。大きな花火玉の中にたくさんの小さな花火玉(小割玉)がはいっていて、小さな花をたくさん咲かせる花火。千輪のうち、小割玉が尾を引いて開くものを「千輪菊」という。当初は単色のみだったが、今では多彩になり、「彩色千輪」や「二度咲き千輪」も見られるようになった。

hanabi_kindsof1.jpg
彩色千輪菊 By whc7294


冠菊(かむろぎく)

わたしの大好きな花火のひとつ。光の帯がゆっくりと夜空から流れ落ちる雄大さは観るものの心をうばう。花火大会の有終の美を飾ることが多いのもこの冠菊。江戸時代に遊女に仕えた女の子の髪型に似ていたことから、昔は「禿菊」と書いたらしいのだが、最近では王冠に見立てて「冠菊」と記すようになった。すぐに消えずに花弁が垂れ下がってゆくそのさまは「大柳」や「しだれ柳」とも呼ばれ、江戸時代は暗い色が好まれたという。

hanabi_kindsof2.jpg
錦冠紫小割浮模様 By ELCAN KE-7A

hanabi_kindsof3.jpg
錦冠菊小割浮模様 By ELCAN KE-7A

「錦冠」とは金色の冠のこと。銀色だと「銀冠」になる。「小割浮模様」とは菊・牡丹・冠菊などの大きな割物花火が開いた後、小さな花火が多数咲く花火のこと。


昇り曲(のぼりきょく)
  
昇り曲とは、花火玉本体とは別に外側に小型の花火を装着し、本体と同時に打ち上げる上昇中の付加物のこと。開花するまでの上昇中に小花を開かせたり(昇小花付)、音を出したり(昇笛付・のぽりふえつき)という変化をみせる工夫。こうした追加の花火全般を「曲」といい、これらが装着されている花火を昇り曲「付き」または「昇り曲導付(のぼりきょくどうつき)」という。


hanabi_kindsof6.jpg
雌雄芯入り牡丹 By ELCAN KE-7A

↑名前についてないけど、これも昇曲付。「雌雄芯入り」というのは、花火の芯が雌しべとおしべのように見える花火のこと。あと、花弁が尾を引いているように見えるけど、これは花火の写真を撮るときにシャッターをやや開き気味にしているから。だから牡丹なのに菊のように見えるだけ。写真だと菊か牡丹か一見わかりずらいのよね;


芯物

芯とは花火の外輪(親星といわれる)の内側にある、外輪よりも小さな輪のことで、芯のはいった花火のことを「芯物」という。芯には単芯、八重芯、三重芯、四重芯があり、「紅芯引先緑」といえば、芯は赤、花弁は引から緑に変わる花をいう。

さいきんでは外国でも日本のように丸い花火玉(花火玉がまるいからこそ、球形状に星を飛ばしてまんまるな花火を開かせることができる。くわしくは日本の花火と外国の花火を比べてみると)をつくるところが出てきたが、この「芯入り花火」をつくれるのは日本の花火師たちだけ。そう、日本では何重にも色の輪ができた花火なんてあたりまえだが、海外の花火はどれも単色花火のみなのだ。

ところで、なぜふたつの芯を持ち、三重にみえる花火が「二重芯」ではなく「八重芯」なのか。この「八重芯」の名には、明治期に開発された「芯入り花火」の、その芯を増やすことに情熱を傾けた明治・昭和期の花火師たちの想いがこめられているらしい。花火に二重の芯をもたせることは、当時の技術としては神業ともいえて、「芯物の最終形」と思われていたのだろう。・・・・・・まさかいまでは「五重芯」まで打ち上げる天才がいるとは夢にも思わないだろう。(ただし慣れた人でも肉眼で見えるのは三重芯がぎりぎりだそう)


変化、変芯

変化とは玉が開いてる間の確保しの色や形態の変化の具合。「変化菊」といえば、ひらいた花弁が色を変化させていくこと。それに対し変化する芯を「変芯」という。


スターマイン

速射連発花火のこと。てっきり、特定の花火の名前だと思ってたよ。。いくつもの花火を組み合わせて連続的に打ち上げ、ひとつのテーマを描き出すもので、いまや花火大会をはじめ各種イベント、ショーを盛り上げるには欠かせない花形プログラム。一カ所からだけでなく、いくつものスターマインを一斉に打ち上げると、「ワイドスターマイン」と呼ぶ。

hanabi_kindsof8.jpg
デジタル・スターマイン By ELCAN KE-7A

hanabi_kindsof9.jpg
デジタル・スターマイン By ELCAN KE-7A


とまあ、ざっとみるとこんなところかな?
すべてが厳密じゃないにしろ、だんだん名前だけで花火が想像できるようになってきたでしょ?


もっと知りたいひとはこちらにて >> 花火の名前 玉名の法則?


試しに去年の長岡花火大会の匠の花火『昇り曲導付三重芯菊先緑変化点滅/昇小花四重芯変化菊/昇曲導付八重芯変化菊/芯入大柳花車/昇り曲導付三重芯変化菊/昇曲導三重芯銀閃冠』の名前からそれぞれどんな花火か想像してみて。おねえさんのかんたんな解説も必聴です!(【光露】→消える直前にピカッと、ひときわ明るく一瞬輝くもの。しかし光露の前に色名が入る場合は必ず光る直前の星の最終の色を指す)




どう?あたった?



■ 日本の美しい花火たち


以下は見かけて気になったもの。実物を見てみたい!

hanabi_kindsof4.jpg
尺玉二発同時打万華鏡 By ELCAN KE-7A
(これはもう「万華鏡」という名前がついているみたい。すてき。)

hanabi_kindsof5.jpg
聖礼花 By ELCAN KE-7A
パステルカラーがかわいい!!

hanabi_kindsof10.jpg
By ELCAN KE-7A
なんだろ?芯はないし、引きもないからいわゆる満星(芯なし菊)のカラフルバージョン?かわいい。名前がありそう


☆あまりの発色の素晴らしさに息をのんだのがこの花火たち。

第7回古河花火大会 大スターマイン「渡良瀬を彩る火の芸術」より


hanabi_kindsof11.jpg
By milk777

水色とミントブルーとイエローオレンジ
hanabi_kindsof12.jpg
By milk777

エメラルドグリーンと淡いピンク
hanabi_kindsof13.jpg
By milk777

抹茶色と紅桃
hanabi_kindsof14.jpg
By milk777

ほんとどこの煙火業者なんだろ。追っかけをしたいレベル・・・・・・!
hanabi_kindsof15.jpg
By milk777


hanabi_kindsof16.jpg
2011年長岡まつり大花火大会にてパステルカラーの花火の同時打ち上げ。 By ELCAN KE-7A


最後は長岡まつり大花火大会で閉めてみました。
本当にたくさんの色があるんだねえ!いろいろみてみたいなあ。



関連リンク
 >> 日本の花火
 >> 小関煙火 - 花火の種類
 >> 日本の夏!打ち上げ花火をカンタンに撮る
 >> 日本の花火百科 - 日本の花火をもっと知りたい

Tags // 花火

| 19:58 | trackback 0* | comment 0* |


<<歌のふしぎ | TOP | 日本花火 江戸時代の花火と浮き絵と両国川開き>>

comment











管理人のみ閲覧OK


trackback

trackback_url
http://labellavitaet.blog40.fc2.com/tb.php/1461-38863ce3

| TOP |


05 ≪│2017/06│≫ 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -



Author:kotomo

【twitter】 _kotomo
【tumblr】 kotomo note*モバイル版


  *   *   *


             >> more?
track feed track feed ??????????

kotomo < > Reload

全タイトルを表示