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2012.07.19 [Thu] + Art/Design +
「聖母の画家」ラファエロとマリアたち

ラファエロ・サンツィオ Raffaello Sanzio
1483-1520 | イタリア | 盛期ルネサンス

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イタリアのウルビーノ地区に生を受けた、レオナルド・ダ・ヴィンチ、ミケランジェロと並ぶ盛期ルネサンスの三大巨匠の一人。聖母マリアと幼子イエスを描いた作品が有名。ラファエロはレオナルド・ダ・ヴィンチやミケランジェロとはやや歳が離れており、この二人や師ペルジーノから多くを学び、その結果、盛期ルネサンスの集大成とも呼べる絵画作品の傑作を数々描いている。またペルージアでの修行時代から画家としての才能は飛び抜けており、若くして独立し芸術の都フィレンツェでの有意義な滞在を送った後、25歳から死去する37歳まで、教皇ユリウス2世からローマに呼ばれ、ヴァチカンの宮廷画家として栄華を極めた。

[salvastyle.com - ラファエロ・サンツィオ Raffaello Sanzio]


若いころからその絵の才能を惜しみなく発揮していたラファエロ。ミケランジェロが偉大な改革者であるならば、ラファエロはそれまでの芸術手法を統合、洗練し、優雅な様式を確立した、総合芸術の天才。その才能はたちまちの内に評判を呼び、称賛され模倣されつづけた。


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十代はじめの頃に描いたとされる自画像。1490年代の作品。すでにラファエロらしい優美な曲線を見ることができる。



繊細な美しい描写で聖母を多く描いたことから「聖母の画家」としても知られているラファエロ。特にラファエロの描く光の輪と聖母のまなざしが好き。その伏せた瞼からは慈しみと深い愛情があふれ出ているかのよう。

実はラファエロはわずか8歳のときに最愛の母を、その3年後の11歳のときには父までも亡くしている。聖母といえば永遠の処女性を持つ存在であるにもかかわらず、彼の描くマリアににじみ出る母性を感じるのは、もしかしたら幼くして失った母のぬくもりや面影を聖母に重ねて描いたからかもしれない。どこかその表情に穏やかな静けさをまとうのも、また。


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<ベルヴェデーレの聖母(牧場の聖母)> 1506年

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<大公の聖母> 1504年

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<聖家族> (detail) 1518年


わたしにとっては『瞼を伏せたマリア=ラファエロ』なのだ。



■ もうひとりのマリア


実は瞼をふせたマリアの他にもうひとり、わたしには好きなラファエロのマリアがいる。
そのマリアと魅力の紹介も兼ねて、以下を引用ス。

いつどこで『岩窟の聖母』を見たのかは忘れたが、その後長いあいだ、このマリアの表情に惹かれていた。極端なことをいうと、このような女性を心の中で夢想しつづけた。だから『居酒屋』のマリア・シェルには胸がつまるほど憧れた。
 なぜレオナルド・ダ・ヴィンチがこのような瞼を伏せた俯きかげんのマリアを描いたのかは知らない。が、その後いろいろ見ていると、すでにマサッチオにもリッピにもトゥーラにも、ウェイデンにもメムリンクにも瞼を伏せたマリアがいた。レオナルドとほぼ同時代のボッティチェリの『書物の聖母』では、振り返った幼童イエスを上から見つめるマリアが描かれていて、なぜマリアの目が伏せがちになっているかの謎を解いている。
 わが子を慈しむためにいつも伏目がちになっているマリアに、あえて正面を見させたのはラファエロだった。『小椅子の聖母』である。これはいまでもその絵を見るたびにドキッとする。…

[松岡正剛の千夜千冊『マリア』クラウス・シュライナー]




To know her is to love her.(逢ったとたんに一目惚れ)



Raffael_026.jpg
<小椅子の聖母> 1514-16年





たちまち彼女の瞳につかまってしまうだろう。




昨日の話を思い出してほしい。『ルネサンス 歴史と芸術の物語』(池上英洋著)で触れられていたように、ルネサンスの少し前、プロトルネサンス期と呼ぶべき時代になってはじめて作者名を記す画家たちが登場し、画家としての自意識が変化し、表現の多様性を生み、それがルネサンスの胎動となっていった―――観る者たちの感情移入のしやすいように、あるいは観る者の視線を意識するかのように。

ところがこの小椅子の聖母の場合、彼女が見ているのは、彼女を見つめる鑑賞者の視線ではなく、彼女を見つめる鑑賞者の瞳そのものではないか。わたしが彼女を見ているのではなく、彼女がわたしを見つめているのだ。そんな不思議な心持ちにさせられる。

いつか、この絵の前に立ちたい。
そう思ってる。


ちなみに松岡さんが心の中で夢想し続けたというレオナルドの『岩窟の聖母』はこちら↓

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レオナルド・ダ・ヴィンチ <岩窟の聖母> ルーヴル版 1483-1486年



やはりラファエロのマリアとは少し雰囲気が異なる。こちらも美人さん。




関連リンク
 >> 『ルネサンス 歴史と芸術の物語』
 >> Web Gallery of Art - RAFFAELLO Sanzio:たくさんのラファエロ作品一覧
 >> Raphael Research Resource from the National Gallery, London
 >> <アルバの聖母> 1511年:古代モチーフのスケッチ?後ろに描かれてるギリシャっぽい建物も気になる。笑
 >> salvastyle.com - ゴシック美術:いわゆるプロトルネサンス時代の作品ってこんな感じ
 >> レオナルド・ダ・ヴィンチ『岩窟の聖母』の秘密

| 22:02 | trackback 0* | comment 0* |


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