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2017.07.14 [Fri] + Art/Design +
タイ修好130周年記念特別展「タイ ~仏の国の輝き~」展@東京国立博物館

東京国立博物館で開催中の「タイ ~仏の国の輝き~」展にいってきました。今回の展覧会は、タイ文化の中でも特に仏教美術について掘り下げたものとなっています。

タイは、国民の95%が仏教を篤く信仰する仏教国です。その結びつきの深さは「国王は仏教徒であること」と憲法で定められていることからもよくわかります。タイの歴史や文化を語る上で、仏教の存在を抜きにして語ることはできません。



⬛︎ タイの仏像の変移


まず驚いたのは、初期の仏教美術において仏像は存在しなかったという事実です。仏陀は人間の姿で表されるのではなく、法輪や仏足跡などの象徴表現によってその存在が示されてきました。


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手前:《法輪》ドヴァーラヴァティー時代 7世紀
奥:《法輪柱》ドヴァーラヴァティー時代 7世紀


法輪には、車輪が転がるように仏陀の教えが広がるようにという意味がこめられています。ほどこされた植物文様からは万物の成長や豊穣を支える太陽への信仰心も見て取ることができ、単に仏陀の存在の暗示というだけではなく、自然への敬意の対象としても崇められていたようです。


タイの仏教旗、ダルマチャクラ旗にも法輪が描かれてますね。


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参考:wikipedia


実際に仏像が作られはじめるのは、仏陀が亡くなってから500年以上も後、1世紀に入ってからになります。

時代を追って見ていくと


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左:《菩薩立像》ドヴァーラヴァティー時代 7世紀


初期の仏像は主に漆喰やテラコッタでできています。首や腰をひねり足元へ視線を落とすポーズや、頭部の豪華な冠の装飾からは、インド仏教の影響が見受けられます。まだまだ表情は乏しく、仏像というよりは、壁画や仏塔の装飾に近いような印象を受けました。


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《観音菩薩立像》アンコール時代12世紀末-13世紀初


がっしりとした体つきや角ばった顔つき。口角をあげつつもぎこちなさを帯び、親しみやすさよりどこか近寄りがたさがありました。遠目には鎧のようなものを着ているように見えますが、上半身を埋め尽くしているのは小さな仏たちです。これはカンボジアのクメール美術に見られる特徴になります。


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《仏陀遊行像》スコータイ時代 14-15世紀


はじめて王朝が誕生したスコータイ時代。国内が安定し、現在のタイ文化の基礎が築かれます。
卵型の輪郭、両耳は先端と耳たぶの先がやや外向きに広がり、伏目でやわらかな笑みをたたえ、頭には火焔飾り、と、これぞ典型的なスコータイ様式。なめらかな曲線を描く体つきはとても優雅で美しく、まるでタイ舞踏のよう。だいぶ洗練された印象を受けました。

遊行仏とはその名の通り、仏陀が歩くさまを捉えたもので、この時代から広く見られるようになります。


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《仏陀坐像》アユタヤー時代 16-17世紀

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《宝冠仏陀坐像》アユタヤー時代 17-18世紀


アユタヤーはは地の利を活かし、400年にも渡り長く交易都市として賑わい、莫大な富を得た栄華の時代。この頃から台座や装飾がぐっと華やかになり、歴史を知らずともその時代の繁栄を想像する事ができました。国王はその権力と神聖さを高めるために、仏教との結びつきをより強くしていきます。結果、王族のものをかたどった豪華な宝冠や装身具を身につける宝冠仏が登場します。


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《仏陀涅槃像》ラタナコーシン時代 19世紀


ラタナコーシン時代では、アユタヤーの頃のような華美な装飾は消え、シンプルなデザインが好まれるようになります。肩や腰廻りは細くなり、顔つきをふくめ、以前の仏像たちと比べるとだいぶ中性的になってきたように感じました。表情もいっそう人間らしく穏やかさを増し、たたえる笑みは見ているだけで癒されます。さすが「微笑みの国」タイの仏像ですね。

この時代はこのように横臥し穏やかに瞑想する涅槃像が多くつくられるようになりました。てっきりくつろいでいるのかと思っていたのですが、そうではなく、「入滅(釈迦・菩薩・高僧などが死ぬこと)」の様子を表しているのだそうです。目が開いてるものは、入滅前の最後の説法中で、目を瞑っているものは、まさに入滅の瞬間をとらえたもの。

余談ですが、基本的に涅槃像の頭は北向き、顔は西向きとされています。これがのちに俗人が亡くなった時に「北枕」とされる由来なんですって。知りませんでした。


まだまだほんの一部ですが、こうして時代ごとの仏像を比べてみると、その長い歴史の中で、仏像の顔だちや造形が世相や隣接する文化の影響を受け変化しているのがよくわかります。これほどのタイ仏像が集まる機会はそうそうないので、とても勉強になりました。



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